坂の上の雲 6

今日も名ゼリフ集のような状態。
明治日本すげえwwww
「『満州(あっち)へゆけば、皆の連中(諸将を指す)をいかようにもまとめて、
仲よく戦(ゆっさ)をさせましょう』」
      大山巌


「『戦争は、勝つだけの工夫が必要だ』」
      秋山好古


「『わが師団は、開戦以来、日本内地に控置され、前線に出ることが
もっとも遅く、そのため歴戦の他師団からみると、無傷である。
いまはじめて敵に見えてこの為体(ていたらく)は
なんということであるか。戦さは負けぬと思えば負けぬものだ。
他師団をみよ。どの師団も五、六度の大会戦を経てすでに開戦当時の
将校にして生き残っている者は数えるほどしかいない。
わが弘前師団はすでに日本一の精強をうたわれながら、これしきの
戦いで苦戦をするとは何事であるか。奥州の健児たる者、
他師団にひけをとるまいと思えば、他師団が、
五、六度の会戦で受けた損害を一度に負うべし。その覚悟で戦うべし』」
      立見尚文


「『おれは黒溝台で死ぬべきところであった。
妙なことに二年以上生きた』」
      立見尚文


「『専制国家はほろびる』
 というただ一つの理由をもって、この戦争の勝敗の予想において
日本の勝利のほうに賭けたのは、アメリカ合衆国の大統領セオドア・
ルーズヴェルトであった。
 その理由は、簡単である。
 二流もしくは三流の人物(皇帝)に絶対権力をもたせるのが、専制国家である。
その人物が、英雄的自己肥大の妄想をもつとき、何人といえどもそれに
ブレーキをかけることができない。制度上の制御装置をもたないのである。」


「『日本はポーランドフィンランドになりたくない。
東京がワルシャワヘルシンキになって、東京の宮城に
ロシアの提督をむかえるなどはごめんである』」
      明石元二郎


「 明石はロシア通だけに、この戦争にロシアが勝てばどうなるかが
よくわかっていた。
 朝鮮半島はロシアの領土になるだろう。日本は属邦になることはまちがいない。
 ロシア帝国はその威容を示すために、ヘルシンキでやったと同様、
壮大な総督官邸を東京に建てるだろう。さらに太平洋に港をもちたかったという
ながい願望をはたすために、横須賀港と佐世保港に一大軍港を建設するにちがいない。
 憲法は停止し、国会議事堂を高等警察の本部にするに相違なく、
さらに幕末以来、ロシアがほしがっていた対馬日本海の玄関の
まもりにすべく大要塞を築き、島内に政治犯の監獄をつくるであろう。
銃殺刑の執行場をもうけるであろう。
 いまひとつ、東京には壮麗な建物ができるにちがいない。
ロシア帝国はその国教であるギリシャ正教をその軍隊同様、
専制の重要な道具にしており、げんにヘルシンキの中央広場に
この異教(フィンランド人にとっての)の大殿堂がつくられているように、
日比谷公園に東洋一の壮麗な伽藍をつくるであろう。
 明石はロシア語をまなんだとき、極東のウラジオストック(Vladivostok)
という町の名は東を征服せよという意味であることを知ったが、
運命のしだいではロシア帝国の東(vostok)が東京になるかも
しれないということをおもった。」


「『私の能力より私の誠意を買ってください』」
      クリ


「『日本もおなじじゃないか』
 と、アルメニア社会党の男がいった。
おなじじゃないかというのは、日本もロシアの侵略をうけようとしている
弱小国であることにはかわりがなく、すでに侵略を受けてしまった
国々や小地帯の連中と立場においてはおなじである、というのである。
まさにそのとおりであった。」


「 多くの革命は、政権の腐敗に対する怒りと正義と
情熱の持続によって成立するが、革命が成立したとき、
それらはすべて不要か、もしくは害毒になる。革命の火を
もやした正義の人も情熱のひとも、革命権力の中軸をにぎった集団から
排除され、最大の悪罵をもって追われ、殺され、
権力者が書かせる革命史においても抹殺されるか、ロシア革命における
トロツキーのような奸物としてしか書かれない」


「 ただし余談ながら、ロシア革命以前におこった
日本の明治維新は他国の革命の型にはまったくあてはまらない種類のものだが、
この場合も、日本に存在したあらゆる思想の革命者が参加した。
しかしもっとも流血すくなく終了し、その後あらゆる毛色の
革命参加者の犠牲者に対し、位階追贈がおこなわれるというふしぎな
結末をつくった。」


「 新聞の水準は、その国の民度と国力の反映であろう。
要するに日本では軍隊こそ近代的に整備したが、民衆が国際的常識において
まったく欠けていたという点で、なまなかな植民地の住民よりもはるかに
後進的であった。」


「『この戦争に勝てば世間は軍人をもてはやすでしょう。
しかし世間というものはすぐ忘れます。泡沫のような騒ぎや
名声に有頂天になるには、私は齢(とし)をとりすぎています。
どこの国へ行っても、軍人というのはうんと甘やかされているか、
すっかり忘れさられているという存在であることを知っています』」
      黒木為禎


「『これは悪税案といってよろしいのですが、
国家存亡のおりからやむをえません』」


「『戦ヲハジメタ者ニハ、戦争ヲヤメル技倆ガナクテハナラヌ。
コノビンボウ国ガ、コレ以上戦争ヲツヅケテ何ニナルカ』」
      児玉源太郎


「『作戦目的というのは一行か二行の文章で足りるのだ。
るる説明してもなおわからないような作戦目的というのは、
もうそれだけでろくなものではない』」
      川村景明

新装版 坂の上の雲 (6) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (6) (文春文庫)