一連のMNP騒動に対して思ったことをつらつらと。

まさか三大キャリアの中で一番「日の当たらないキャリア」であった
Vodafoneが、ソフトバンクによる買収を経てまさか
これだけ変わってしまうとは。
ユーザーである自分もびっくりです。
ここ数日はテレビもネットも大騒ぎですね。
ナンバーポータビリティは開始直後は
特に市場に大きな動きは起きないのではないか」
という下馬評だっただけに、見事なまでのサプライズ。
(多分、孫さんとしてはAppleのジョブスさんの真似事がしたかったのでしょうがw)


ただ、ここで問題になっているのが、
料金プランの複雑さ。0円をうたうものの、
実際には諸条件でがんじがらめになっています。
ソフトバンク間通話し放題の「ゴールドプラン」は
他キャリアに電話をかけると割高な料金になりますし、
時間制限もある模様。
頭金0円の「スーパーボーナス」は実質27カ月、
機種変更をさせないという「縛り」をかけたプラン。
Felicaワンセグなどの新技術の導入が急速に進む中、
27ヶ月の縛りは魅力的ではない人も多いと思います。


でも、改善点も実はたくさんあるんです。
ゴールドプラン」は曲がりなりにも、
(PHSウィルコムに続いて)携帯電話では初の同キャリア間定額通話ですし、
オレンジプラン」では学割とパケット定額を併用できる。

Vodafone時代に比べ、「ゴールドプラン」は一分あたりの通話料が
昼間1分あたりの通話料金が15.75円〜52.5円程度だったんですが、「ゴールドプラン」では1分あたり58.8円〜60.9円値上げ」されている
という批判もありますが、その代わりにあの悪名高い
「一分課金」を廃して他社と同じ「30秒課金」にしている。
(例えば30秒話して今まで50円取られていたのがこれからは25円になる、と。)


特に「一分課金」を廃したのは大きいでしょう。
ファンサイトでVodafone時代に、料金面で改善を求めたい点を
アンケートするとダントツでトップだったのがこの「一分課金の撤廃」。「30秒課金というのはCMもできない上、新規契約や解約阻止の理由にはなりにくい。」
と絶望視されていましたが、今回改善されました。


個人的に一番気になるのは、やはり学割。
パケット定額と併用できるとか鬼に金棒です。
当分、このキャリアから変える理由がなくなっちゃいました。




そしてそんなソフトバンクの動きにキレちゃったのがドコモの社長さん。
ドコモ中村社長、「孫氏の発言には怒りすら覚える」

ソフトバンクの広告に対して語気を強める中村氏
 NTTドコモは、2006年度中間期決算を発表した。会見の中で、
同社の中村維夫社長は、ソフトバンクモバイルの販売施策、
および同社・孫正義社長の一連の発言内容に対して、痛烈な批判を展開した。


 中村氏は、「23日夜から言われっぱなしで、怒りすら
覚える部分がある」と発言。ソフトバンクの新聞広告を
持ち出して、「0円の表記と、孫社長の名前は大きく書いてあるが、
大切な条件が小さく書いてある。ソフトバンクモバイルに移動したが、
請求書を見て、こんなはずじゃなかったという人が増えることが心配。
こういう出し方はフェアなのかどうか」などと語った。


 同氏が、これだけ他社を批判することは、これまでに例がなかっただけに、記者の間からも驚きの声が出ていた。

言ってることは正論です。
もうネットでもテレビでも各所で言われていることです。
非の打ち所は一切無い。
でもね、お前が言うなと。
寡占市場なのをいいことに5年も10年も甘い汁吸い続けやがって、
何ふざけたこと言ってんだと。どのツラ下げてそんなこと言ってんだと。


学割を投入して基本料金を大幅に下げたのはau
このサービスは子供の名義を借りることで、
子供を持つ親でも基本料金を下げられ、
auもその使い方を容認したために結果的に
基本料金は大きく値下がりしました。


そしてパケット代5万円、10万円、何十万円という異常事態に対処したのもau
定額制を導入することで、今の「パケット定額は当たり前」という
流れを作ったのはどう見てもauです。
さらにワイドサポートで2000円以下の基本料金を
打ち出したのもau。対象を小中学生と
60歳以上に絞っているプランで、
純粋に連絡手段として、低コストで携帯電話を持つことが出来る。
これも大きな一歩です。


加入者間の通話し放題を実現したのはウィルコム


さらに、旧ジェイフォン、Vodafone時代に
メール受信無料、家族間通話し放題の家族間定額、
一人相手を決めて通話し放題のLOVE定額を打ち出し、
先日は携帯キャリア初の加入者間通話し放題サービス、
ゴールドプラン」を出したのはソフトバンク


携帯創生期から現在まで(50パーセント超のシェアを維持)、
ずっとイニシアティブを握り続けたのはドコモ。
それなのにアンタ、一度だって先陣切って値段下げたことがあるのかと。
俺の記憶している限りはないぞと。少なくともここ5年は無かったんじゃないのかと。
いっつも他社の大胆な値下げに対して、
対抗できないと判断したときだけ追従していく。
ずーっとそればっかり。


総務省の発表でも、日本の携帯電話料金は世界的に見ても、決して高くはない」とも
社長さんはおっしゃってます。
電気通信サービスに係る内外価格差調査という
調査が平成17年8月9日付で総務省から発表されており、多分このことなのでしょう。
確かに、

携帯電話料金では、今回より、「音声のみ利用」、「音声とメールを利用」、
「音声とメール・データ(インターネット接続)を利用」の
3つの場合について、利用頻度別に比較。他の都市と比べて
高い場合もあるものの、総じて言えば、概ね同じ若しくは安い水準にあります。

とあり、データを見てもその通りだと言えます。
ただ、時と場合で若干安い状況もあるとはいえ、
大体は並レベルで特段に安いわけではない。
その上、「 「東京」、「ニューヨーク」、「ロンドン」、「パリ」、「デュッセルドルフ」及び「ジュネーブ」の6都市」
における調査で、より先進的なレベルにある地域は考慮されていない。
そして何よりここが一番大事なのですが、
前述の通り、この調査結果は
間違いなくドコモの手柄じゃねーよと。
てめー嫌々追随してたばっかりだったくせに何でかいツラしてんだと。


今回も『(ソフトバンクの低価格路線に)追従するつもりはない
と自信満々のようですが、どうなることやら。
機種に以前のような絶対的な優位性があるわけでもないですし、
初期の強みだったエリアカバー率の広さも今じゃ他キャリアと五十歩百歩。
都市部に住んでいれば、極端にエリアが広くなくても問題ありませんし。
ここ数年のauの隆盛を見ても、いつまでもドコモの天下が続くとは思えないのですが。
それに普及率も急上昇して、05年度の普及率は75.6パーセント。
普及したら値段は下がるものなんだけどなぁ。


「値段では勝負しない、付加価値で勝負していく」ってのは
寡占市場のドンが、いけしゃあしゃあと吐いていいセリフじゃないと思うんですけどねえ。




あとがき;
ドコモも、まだ機種のラインナップで他キャリアに絶対的優位を
誇っていた時期は、高くても魅力があったのですが、
初期FOMAがコケたあたりで取り返しのつかない迷走をし始めたなーという気がします。
個人的には、今となってはドコモの端末も、他キャリアと同レベルかそれ以下まで落ち始めている気が。
N505iの頃とか大好きだったんだけどなー。
SO505iとかもうたまらなかった。話はズレるけど、
ソニエリはジョグを廃して終わったよなーとつくづく。
ジョグのグリグリたまらんかったのにwww




参考リンク;
ドコモ中村社長、「孫氏の発言には怒りすら覚える」
総務省 電気通信サービスに係る内外価格差調査
2005年度の携帯・PHS契約数が判明、普及率は75.6%に
ソフトバンク、「新スーパーボーナス」は頭金0円の分割払い
ソフトバンクの「予想外割」は本当に安いのか
ケータイ・イズ・ノット・イナフAct.15「時をかける“スーパーボーナス”」
ソフトバンクの「予想外割」、通話料0円の新料金プラン発表
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